MSX: MSX
脈絡ないですが,MSXのお話です.ちなみにこの文章は10年前くらいに書いたものです.
MSXは夢の統一規格として生まれたコンピュータであり,さまざまな会社から個性的なマシンが発売されました.BASIC言語を学ぶのに最適のマシンであ り,ハードウェア規格の詳細についてもかなり公開されていたため,アセンブリ言語を学ぶのもたいへん行ないやすいマシンでした.また,カートリッジスロッ トをもっていたため,ゲームマシンとしても使われていました(その中途半端さが寿命を縮めたとも言えますが).
有名(?)な話ですが,MSXとは,MicroSoft-Xの 略です. マイクロソフトが作った統一規格であり,MSXシリーズであれば,どのメーカーのマシンでも同様の動作をします.ただし,規格がゆるい(すばらしい?)た めか,かなりさまざまな特徴を持つマシンが登場していたように思います.現在Windowsマシンを発売しているメーカーは数多くありますけど,なんか特 徴に乏しくてどれを買ってもいっしょという気がします.しかし,MSXにおいては他のメーカーとの差別化を図るためか,非常に個性の強いものが多かったよ うに思います.また,MSXの特徴として,コンピュータメーカー以外の会社がたくさんマシンを発売していたことが挙げられます.たとえば,YAMAHAな ども参入していて,YAMAHAのマシンを買えばそのままMIDIが使えるなど,メーカーの特徴がよく表れていました(CASIOのMSXは安かった (^^;)).
発表された当初,日本には高価なパソコンばかりがあふれており,安価な価格で,グラフィック性能のすぐれていたMSXは人気となりました.パソコンであり ながら家庭用テレビに接続でき,また,手軽にBASIC言語を用いてプログラミングができたため,多くのプログラマを育てたと思います.しかし,時代と共 に,ゲームではコンシューマゲーム機,プログラムではもっと高性能なパソコン,と別れていき,どっちつかずだったMSXはすたれていってしまいました.そ してついに1994年,最後の1社,松下がMSXから撤退しました.
どんなMSXがあったのか?
MSXは,長年第一線で活躍してきました.規格自体も時代の流れに合わせてMSX2,MSX2+,MSX-TURBORと拡張されていきました. 個人的な意見を言えば,規格自体はMSX2で完成されており,その後のマシンはMSXの衰退を早めたと思います.ここでうまいこと規格が作られていれば MSXもあと10年はもったのに...などと考えてしまいます.
ちょっと乱暴なまとめ方ですが,それぞれのマシンの特徴をまとめてみると以下のような感じになります(マシンによって仕様がかなり違うのでまとめに くい).ちなみに,規格が変わっていくごとに発売メーカーは減り続け,MSX2+を出したのはPanasonicとSony,Sanyoの み,TURBO-Rに関してはPanasonicしか発売しませんでした.
MSX TURBO R
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登場
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1983年
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1985年
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1988年
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1991年
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CPU
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Z80A(8bit)
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Z80A
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Z80A,Z80B
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R800(16bit)
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RAM
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8kbyteがメイン.最大64kbyte
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64k,128k
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64k,128k
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256k,512k
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VRAM
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16kbyte
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64k,128k
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128k
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128k
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ビデオ性能
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16色固定!
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16パレット,256色
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横スクロール機能,自然画機能の追加.
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変化なし
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音楽性能
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PSG3音
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PSG3音
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PSG3音+FM音源
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PSG+FM音源+PCM音源
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主なメーカー
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松下,ソニー,サンヨー,ヤマハ,日立,東芝,富士通,キャノン,三菱,カシオ,ビクター
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松下,ソニー,サンヨー,ヤマハ,日立,キャノン,東芝,ビクター
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松下,ソニー,サンヨー
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松下
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なぜ衰退してしまったのか?
こればっかりは,神様しかわかりません.ただ言えることは,オールマイティーであったが故に進化につい ていけなかった,というところでしょうか.ゲームが多いという特徴は,ファミコン時代ならまだ戦えたのですが,スーパーファミコン,メガドライブなど高性能なゲームマシンが登場してきたことで,MSXの画像処理性能の低さが明らかになってしまい,ゲームに関する魅力が半減してしまいました.これによりユー ザ数が減少 -> MSXからソフトメーカーが手をひく,という悪循環を生み出してしまったのでしょう.また,純粋なパーソナルコンピュータとしてみた場合,テレビ出力とい う特性がマイナスとなります.漢字表示をするにもあんな大きな文字でしか表示できないのであれば他のコンピュータには太刀打ちできません(インタレース モードはテレビには厳しいし).結局ビジネス用途にも使えなかった訳です.
ゲームにもビジネスにも使えないコンピュータが売れるはずもありません.MSXは加速度的に衰退してい きます.じゃあ,ゲームにも使えるようにMSX TURBO-Rの規格が高速VDPを使ったものであればよかったのか?というとそうとも言い切れません.MSXはテレビ接続であることも考えると,入門 用,ホビー用のパソコンであるといえます.スペックばかりが高くなり,値段もそれにつられて上がってしまえば,MSXはMSXと呼べなかっただろうし, ゲーム機との差は(値段の差も含めて)さらに開いてしまったでしょう.もっとも今のDOS/VやiMACのように,安価/高性能な販売がされる時代であれ ば,Windowsのようにビジネス,ゲームを統合することも可能だったかもしれませんが...